第1講 8 月 23 日(月) 13:30~15:00

身体運動を科学する (犬走渚・運動制御)

今年は日本でオリンピック・パラリンピックが開催され、多くの人がスポーツに関心を寄せているのではないでしょうか。世界最大のスポーツの祭典で、トップアスリートが魅せる圧巻のパフォーマンスは、時に我々に感動を与えてくれます。こうしたアスリートの洗練されたパフォーマンスは勿論のこと、我々が日常で何気なく行う身体運動でさえも神経システムによる複雑な制御によって実現されています。本講義の前半では、ヒトの身体運動を題材として扱う研究分野をいくつか紹介し、後半では私が特に興味を持つ、ヒト身体運動制御についてお話ししたいと思います。

本講義を通して、「アスリートと我々ではどのような点が違うのか?」また、「神経システムはどのようにして運動を制御するのか?」といった素朴な疑問について皆さんと考えられたら嬉しいです。

 

第2講 8 月 24 日(火) 13:30~15:00

歴史学を体験する ― 鎌倉幕府成立から (金澤木綿・日本中世史)

歴史学を研究しています! と誰かに言われたなら、「何を? どうやって?」と思いません

か? 事実って変わりませんよね。変わらないものを相手に、何を発見するんでしょう? ま

た、過去のことを研究して何になるんでしょう?そんな、なぜ? に、歴史学を体験することで迫っていこうと思います。

素材として扱うのは鎌倉幕府の成立です。イイクニからイイハコに変わった鎌倉幕府の成立。でも事実は変わらないのに、いったい何が変わったというのでしょう? そしてその根拠とは何なのでしょう? その議論を、実際の史料や論文を追うことによって追体験していきます。高校で日本史を履修していなくても、もちろん大丈夫です。

 

第3講 8 月 25 日(水) 13:30~15:00

歴史学を体験する ― 古文書を眺める(仮) (金澤木綿・日本中世史)

 

歴史学を研究する際に、必ず必要となるのは史料(古文書・日記などの古記録)です。歴史学

者は史料から事実を引き出して、解釈し、研究をしていきます。

じゃあ、歴史学者ってずーっと本を読んでいるの? と問われると......実は読むだけではないのです。今回は古文書の「読み方」ではなく「見方」「眺め方」を学んで、書いてあること以上のことを読みとる歴史学の技術を体験してみます。くずし字は読めない。漢文や古文は苦手......もちろん大丈夫です。お気軽にご参加ください。

 

第4講 8 月 26 日(木) 13:30~15:00

ヒトはどのようにして運動を学習するのか? (犬走渚・運動制御)

ヒトの身体には、多数の骨格筋や関節があります。そのため、身体運動には膨大な数の筋や関節が関与しており、神経システムはこれらを巧みに扱い、運動を制御しています。例えば、目の前のカップを掴むという一見単純に見える運動でさえ、カップまでの手先の軌道・関節角度・筋活動といった構成要素の組み合わせで成る無数の運動パターンの中から 1 つの解を選択する、という複雑な制御が行われています。他方で、我々は自転車の乗り方やボールの投げ方など、より複雑な運動スキルを次々と学習することができます。ヒトが有する優れた運動学習能力の背景にはどのようなメカニズムがあるのでしょうか。本講義では、複雑な運動制御が求められる中で、どのようにして運動スキルを学習するのかについてお話ししたいと思います。

本講義を通して、少しでも身体運動制御について関心を持っていただけたら嬉しいです。

 

第5講 8 月 27 日(金) 13:30~15:00

ディスカッション (犬走・金澤)

人文学系/自然科学系、実学系/非実学系と、正反対の大学院生がディスカッションをします。

なぜその学問領域に進もうと思ったのか? なぜ大学院でなければならなかったのか? 研究を

する意味ってなんなのか? などなど、分野に囚われず浮かんでくる「なぜ?」に、人・環ならではの様々な「見方」から、考えてゆきます。