担当:伊藤・奥田・山根(司会)
皆さんは「文化」というと、何をイメージしますか?
日本文化、海外文化、ハイカルチャー、サブカルチャー、最近よく聞く文化資本などなど。
芸術? 生活様式? 社会の仕組み?
日常的に使う言葉なのに、いざそれが何かと問われると、ふわっとしていてよくわからないですよね。
今回、登壇される伊藤さんのご専門である社会・文化心理学、そして、奥田さんのご専門である歴史学は、ともに「文化」を対象とする学問です。
しかし、その定義づけや、研究方法、見出す意義はそれぞれ随分と違うようで……?
今回は、お二人からそれぞれの「文化」の読み解き方とその意義をお聞きし、お二人の研究が合わさったとき、何が見えてくるのかを、激論していただきたいと思います!
今回のディスカッションは、社会心理学の伊藤さんと、「文化」の定義や研究方法などを巡って行いました。
まず、事前に課題を共有しておいたことで、あまり言葉に詰まることなく掛け合いができたこと、山根さんの捌き方が上手く、流れの良いディスカッションができたと思っています。
ディシプリンや研究方法の違いなど、学部生にはまだまだ分かりづらいような点もあったかとは思いますが、一つのモノをどう見るか、その「ミカタ」を提示することは、ある程度できたのではないでしょうか。私たち自身も、何かしら研究に活かせる部分、お互いの分野の位置づけについて、新たな発見ができたのではないかと思います。
奥田(アメリカ史)
分野も方法論も全く異なる方とディスカッションするのは初めてだったので議論が成立するかどうかを案じていたのですが、無事スムーズなディスカッションを実現できたように思います。これもひとえにディスカッションを準備する際に積極的にリードしてくださった奥田さんと山根さんのおかげです。
質的研究・量的研究はその方法論から対比されることが多く、また両者の間で交流することも少ないように思います。しかし、いずれの立場をとるにせよ、世界に溢れる不思議や疑問を明らかにしたいという目的自体は共有しています。今後学際的な交流が盛んになるにあたって、どのようにこれら二つを統合してさらなる知の産出につなげていくのかを考えることは重要になってくると思います。本ディスカッションが、質的・量的研究の違いを明示しただけに留まらず、皆様にこうした問題を考えていただくきっかけになっていれば幸いです。
伊藤(社会心理学)
今回は「文化」をテーマに歴史学の奥田さんと社会・文化心理学の伊藤さんにディスカッションをしていただきました。
分野の違いによって、言葉の定義や研究方法、見出す意義は異なりつつも、実はゆるやかに連関していることが少し見えたのではないでしょうか。
このような分野間の差異と連関に気づく機会は、専門分野に引きこもっていてはなかなか得られないものです。
「ものの見方」は無数にあります。どの「見方」を選ぶかは自分次第です。いくつ選んでも良いし、自分で組み合わせて新しいものを作っても良いでしょう。
しかし、ここで大切なのは、自分が選ばなかった「見方」を軽視しないことだと思います。
積極的に他の見方を学び、比べた時にこそ、自分の「見方」の問題点や意義が明確に浮きあがってくるのだと思います。
そして同時に、比べた相手の分野の重要性もそうやって理解していけるのではないでしょうか。
今回のディスカッションがその一例を示せていれば幸いです。
山根(日本近代文学)