「外交史研究」とは何か?

担当:奥田俊介

概要

アメリカという国は、映画や食文化だけでなく、在日米軍の存在など、様々な意味で我々に「身近」だと感じられる機会が多い存在です。また、南硫黄島とマリアナ諸島は550キロほどしか離れておらず、地理的にも近いということは意外と知られていません。

 

 私は、このアメリカという国を「外交史」という側面から研究しています。外交史という言葉は、国家間関係についての研究のみを連想させますが、実際は、一国の内政や文化、人間を超え、多国籍企業や財団、NGOを視野に含めた、多様かつ重層的な研究分野であると言えます。

 

 第一回の講義では、歴史学の発展過程について概観した後、最新の外交史(特に冷戦期)研究が扱っている多様なテーマを概観し、その多様性に触れてもらいます。また、歴史研究に欠かせない「一次史料」を見つつ、研究の進め方などを、アメリカでの体験談を交えて紹介することで、日頃の「研究」にも触れてもらいたいと考えています。

講義を終えて

 今回の講義目的は、①「歴史」の語られ方の歴史と「歴史学」の誕生の経緯の概観、②20世紀以降の主な歴史学的見方の提示、③主として日本における外交史研究の発展の過程、というものでした。本当はアメリカ外交史研究の現地調査の様子も紹介したかったのですが……、それは次回ということで。

 講義自体は他の大学等でもやっているので、必要以上に緊張することはありませんでした。喋り方や間の取り方等もそれほど問題なかったのではないかと思います。ただ、一方的に話しがちなのは私の悪い癖ですし、歴史学の講義は一方的に話すスタイルが一般的だと思うので、双方向的な講義を目指すべきというコメントは考慮すべきだという風に感じました。

 また、パワポに関して、事実誤認がいくつかあったのは私の理解力不足&専門でもないのにやった結果だと思います。素直に反省しています。情報量が多くなるのは、歴史の講義の場合、引用等もかなり多くなることがあるので致し方ない部分もありますが、修正できればなと思います。

 次回の講義はケース・スタディ的なものなので、情報を絞れる分、海外での史料調査の様子とも組み合わせながらやりたいと思っています。もう少しウケもとりつつ。

アシスタントコメント

 私のような理系の研究者にとって、歴史はいわゆる「暗記ゲー」のような感覚があり、歴史学の研究については考えてみたこともなかった。本講義では単なる歴史記述がどのように発展し、史料批判による方法論としての歴史学へと至ったかについて概説されており、物事に新たな意義を見出すための歴史学という考え方について理解することができた。

 講義については、聴衆に語り掛けるように授業を進めており、非常に聞き取りやすかった。一方で求められている知識レベルが高かったため、理解が追い付かないことも多く、初学者へのフォローが必要であると感じた。またスライドがやや単調気味であったので、パワーポイントをうまく有効活用できれば、聴衆の理解も促進できたのではないかと思う。

 

北川裕貴(無機材料化学)