セックス・アンド・ザ・アンソロポロジー

担当:福田(文化人類学)

概要

前回は禁忌(タブー)についてお話ししましたが、性に関する禁忌のない社会はないでしょう。性についての話をすることも、多くの場面では禁忌となるかもしれません。しかし、性は人類にとって重要な側面であり、性について扱う人類学は古くから存在しました。

人類学と言うと、「未開」な文化やかわった習慣を研究するイメージがあるかもしれません。ですが、世界中のおもしろおかしい性にまつわる習慣を集めるだけでは人類学とは呼べないと、あらかじめおことわりしておきます。

 

一口に性と言っても、切り口はとても多くあります。テーマもフィールドも、女性器切除などの「伝統」と現代的価値観の対立、自然科学、近親相姦、風俗店、婚姻、セクシャルマイノリティ、といった具合に、幅が広いのです。

今回の講義では、「ジェンダー」と「エロス」を中心に据えて、文化人類学は性にどのように向き合ってきたのかを提示し、それを踏まえたうえで後半ではみなさんにも議論してもらいたいと思います。

講義を終えて

まず女性誌の性の記事と風俗レポの紹介について補足。そこに描かれた「恋多きアラサー女性」と「風俗通いのモテない中年男性」の性愛。ここに描かれた、対極のようにみえるこれらが双方ともに「エロス」を求めている。あらゆる「イヤラシ」の世界にも「反エロス」だけではなく、「エロス」は存在し、人々がそれを求めているということの例示でした。わかりにくかったかと思います、すみません。

 

今回はデリケートなテーマであったが、こうした場で声に出すこともはばかられるような内容をあえて提示した狙いは、ひとつには(前回の講義の)「禁忌」を破るということのデモンストレーションをすることにあった。事実インパクトはあった。ただ、今回も構成が羅列的で素材をうまく活かせなかったように思うし、テーマがテーマであるだけに、やや配慮に欠ける部分があったことも反省している。

 

難しいことをわかりやすく話すことは、講義をする上では最も重要なことのひとつだろう。今回の講義は、基本的な用語の説明などが乏しく、その点でも不親切だった。前回より改善した部分もあったと思うが、今後は話すペース、緩急、といった技術面も含め、いただいたご指摘を真摯に受け止め、改善したい。

ありがとうございました。

アシスタントコメント

さて、反省会でも繰り返し指摘されていたことですが、非常にきわどい素材をうまく料理して、文化人類学の研究の具体例として提示していた点は非常に良かったと思います。個人的には、途中の具体例において、一般的には低俗と思われているようなものから、そのロジックを抽出するという試みが印象的でした。また院生質疑での、自分のことをよりよく知るために他人のことをよく知ることが文化人類学の目的の一つである、といった回答は誰にでもわかりやすくその意義を伝えられるものでした。「生」の素材を学生に見せる際の配慮や、内容のまとまりの面など改良すべき点もありますが、総じて成功していたのではないかと思います。